やさしい義眼のつくりかた How to make artificial eye and prosthesis

顎顔面補綴という仕事を通じて身につけた義眼やエピテーゼの製作技術やその背景をご紹介。 あまり広く認知されていない技術ですが、どこかで誰かの役に立てればいいですね。 フィギュアなどの趣味にも生かせるように、なるべく特殊な材料や 道具を使わない方法も お伝えできればと思います。 How to make artificial eye and prosthesis.

How to make artificial eye and prosthesis.

クランプ

技工士の手

内職の合間に本業をこなしているような気がするここ数日。いやいつもか・・・

金型の研磨をつづけてやっています。


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ちょっと硬い金属なのでなかなか削れないのと、すぐに熱くなるので水につけながらの作業。
指はふやけるし黒くなるし、なかなか技工士の手に戻ってます。


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研摩してるのはブラックディスクの平面に当たるところ、ちょっと深い傷があったのですが、なんとか消すことが出来ました。

右のパーツがクリアボタンの平面に当たる部分なので、キレイにしたいところですがこの形だと難しいですね。

デザイン変更する必要があるけれど、どうしたらいいかまだ思いつかない。

クリアボタンの重合が終わってからどっちみちサンドペーパーでひと擦りするところなので、これでもいいっちゃいいのですが、やはりもっときれいに作りたいところ。

課題です・・・・



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手持ちの一番小さいクランプに挟まる予定でしたが、微妙に厚みがおおきい。
写真では挟んでるのですが、スペーサーのパーツを1個外しています。


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意地になってクランプの方を削りました。


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カッティングディスク4枚重ねの刑でバリバリ削り、無事挟むことができるようになりました。

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アラビアコーヒーの缶がコーヒーの湯沸かしに昇格したので、この鍋を使っているのですが今度は大きすぎかも・・・



フラスコについて


やさしい義眼の作り方: 義眼製作法を豊富な写真で解説
顎顔面補綴マニュアルシリーズ

拙著がおかげさまでぼちぼち読まれているようです。
お読みいただいている方にここで改めて御礼申し上げます。

実際に作っておられる方、作ってみたいとおっしゃる方からいくつか問い合わせをいただいているのですが、まず、フラスコとクランプについて。

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私が使っているのはこのセットですが、フィリピンの小さなディーラーさんから購入しました。
元は日本製らしいのですが、在庫限りの販売といわれていて、
先週のデンタルショーでいくつか購入しておこうと思っていました。

ところが、このディーラーさんが今年は参加しておらず購入できませんでした。

ご高齢の小さなディーラーさんでしたので、やめられたのかどうか今不明です。

私自身この小さくかわいらしいフラスコとクランプのセットに思い入れがあり、気に入って使っていますが、時々義眼の大きさによっては大きさが足りない時があります。

そういうときも含めて、代用品で義眼を製作するアイデアを少し。
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これはマニュアルの中でも使った義眼を作った時のものです。
カップケーキを作るためのアルミ製の型だと思うのですが、
そういう用品を扱っているお店で買いました。

底の蓋が外れるようになっていますが、実際に石膏を使って埋没した時には石膏の硬化時の膨張のため、あとから石膏の部分だけ取り外すことはできませんでした。
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ワセリンをあらかじめ塗っておいたのですが、ダメでした。
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そう高価なものではないので使い切りでも構わないとは思いますが、
やはりアルミ製のためクランプで挟むと部分的に変形します。
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マニュアルで紹介しているようなシリコンパテを使った埋没には不向きですが、
石膏で埋没し使い切りと割り切れば十分使えると思います。

ただし一次埋没後石膏表面に位置決めのための切れ込みや、くぼみを作っておく必要があります。

次に材料ですが、義眼で主に使用するのはアクリル樹脂です。
このアクリル樹脂は主に歯科用で売ってありますが、日本の場合、歯科関係でなければ買いにくくなっているようです。

Amazonなどでネイルアート用としてアクリル樹脂が売られており、これは同等のものですが通常常温重合タイプのものしか売られていないようです。

物性的には加熱重合タイプのほうがすぐれているため、実際に使用する義眼の場合はなるべく安全性の高い加熱重合タイプのものをつかう必要があります。

常温重合タイプのアクリルの粉でも、加熱重合の液を使うと加熱重合タイプとして使えることがほとんどです。

ただしこの液が可燃性であるため、航空便で輸送することが現在できなくなっています。
外国の義眼材料として購入はできるのですが、日本への配送はしてくれないようです。

知り合いに歯科関係の方がいれば頼んで購入してもらうのが一番かと思います。





 

業務連絡 フラスコの改造

フラスコをお求めいただいた方へ、お伝えするのを忘れていましたのでここで。

フラスコとクランプのセットですが、使いやすくするために以下の改良をされたらと思います。

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クランプのこの部分右左裏表4か所の角が結構立っていますので、
やすりかリューターなどで角を落とされたほうが使いやすくなります。

クランプの開け閉めのたびに指にこの角が当たって痛いのです。
たまに皮がむけます。

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小さい四角のフラスコのほうですが、蓋とフラスコ上の部分をいつも同じ位置で使えるように
マークを彫り込んでおくとあとあと都合がよいと思います。

日本の数少ない職人さんが作ったのであろうフラスコです。
結構きっちりできていますので、回転してしまうときちんと閉まらないことがあります。

何よりマニュアルで出てきますが、いつも同じ位置で使うようにしておくと、
型の使いまわしができます。

位置はどこでも構いませんので、ぜひどこかにマークを彫り込んでおいてください。


 

新しい道具紹介 クランプ

先日東京に出張に行ったついで、念願の東急ハンズに行くことができました。
だいぶ昔に東京にしばらく住んでいたころに行った渋谷のハンズでした。

場所も建物のデザインも当時のままでかなり懐かしかったです。

同行者がいたので自分の時間はほとんど取れませんでしたが、隙を見てクラフト関係の売り場へ・・

やはり日本はこういう店があっていいですね。
普通だと専門の道具なんかで、どこで手に入れられるかわからないようなものが、
目で確認して買えるし、売り場の方も相当詳しい方がいらっしゃるようです。

結局自分の買い物はこのクランプ一個。
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何かを机に固定したりするもののようです。
大昔の鉛筆削り器はこういうもので机に固定していたようなかすかな記憶が・・・

一個300円でしたが、普段から必要に思っていた用途にどんぴしゃです。

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このように時々フラスコ一個で重合させる必要があるのですが、
今まではセットのもう一個のフラスコと重ねてはさんでいました。

それだと重合作業中にもう一個のフラスコでの作業ができなくなるのと、
重合が終わってもしばらくは熱くて、やはりすぐに作業に移れないのが難点でした。

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石膏でスペーサーを作ったのですが、お湯で煮て重合させるものですから、
すぐに弱くなってしまいます。

適当な金属の塊でもあればいいのですが、なかなかそう都合よくはありません。

この300円のクランプはたぶん本来の使い方ではないし、
構造上強く締めるとしなります。

それほど強く締める必要も無いし、少ししなるくらいが継続的に圧がかかっていいような気もしますので
300円とはいえ掘り出し物を見つけたような気分です。

ホームセンターで売っている洗濯ばさみみたいでの強力なやつも以前試しましたが、
プラスティックなものですからやはりお湯で煮ると簡単に変形してしまいます。

義眼といえば医療的なイメージですが、実際やってることは結構バタ臭く地味ですね。

 

マニュアルの製作 再開

しばらく更新も滞っていましたが、いろいろと納期に追われる仕事を片付けるのでばたばたでした。

ずっとバックオーダーを消化できていなかったものがようやく 終わってかなりほっとしています。

マニュアルの文章はすべて下書きが出来上がっているので、あとはそれに写真を撮ってはめ込んでいくだけです。
今日はいくつか写真を撮ってみたのでモニター上でどう見えるかも見るためいくつかご紹介します。

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例のお気に入りのフラスコです。
買うとかなり高くつくクリアボタンの原型からクリアボタンを作る工程です。

写真で見るとかなり大きく見えるような気が・・・
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実際にはフラスコふたつとクランプを入れても手のひらサイズです。

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このアウトドアショップで買ったナベつかみが予想外によくて、写真のアルミのなべをつかむのにも使えるほか、写真のようにフラスコクランプもきっちりつかむことが出来ます。

真鍮製のフラスコとクランプのセットは、熱伝導がよくかなり熱くなりますのでこれは助かります。
ついでにクランプのねじを緩めるのもそのままらくらく。

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出来つつあるクリアボタンの大きさをノギスではかっています。
このノギスもプラスティック製のポケットサイズ。

義眼つくりは道具もミニサイズですみますし、いろんな燃料や材料も少しですみます。

今日はこのくらいで・・・

 
顔面補綴マニュアル  やさしい義眼の作り方 How to make artificial eye
How to make Ear Prosthesis 英語版
エピテーゼのつくりかた 耳
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村井 さむ

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日本でのプレッシャーを逃れフィリピンに移住してはや10年、まだ生きてます。やさしい義眼の作り方

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