やさしい義眼のつくりかた How to make artificial eye and prosthesis

顎顔面補綴という仕事を通じて身につけた義眼やエピテーゼの製作技術やその背景をご紹介。 あまり広く認知されていない技術ですが、どこかで誰かの役に立てればいいですね。 フィギュアなどの趣味にも生かせるように、なるべく特殊な材料や 道具を使わない方法も お伝えできればと思います。 How to make artificial eye and prosthesis.

How to make artificial eye and prosthesis.

おじさんの顔

9月のLongest day

 今月のセブ出張から帰ってきました。

今月は金曜日早朝にマニラをたって、土曜日の夜にマニラに戻るというスケジュール。

  いつもなら帰りは土曜日の昼なので、ホテルで朝食とってチェックアウトしたらそのまま空港に行くのですが、今回はチェックアウト後セミナーの続きやって、夕方空港入りでした。

  今回のセミナーは義眼のセミナーでしたので、一日で終わらずちょうどよかったのかな。

一日で終わらそうと思えば終わらせられるのですが、いちおう省略なしのいちばん面倒な方法でやりました。

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写真は何とか形になった、出来立ての義眼です。

日本人同様、フィリピン人も虹彩の色はほぼ黒からこげ茶の間ですので、虹彩を描くのは簡単です。
それでは面白くないので実習ではネットで画像を探して、気に入った虹彩を真似するという方法でやってもらいました。

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やはり人生最初の眼球が出来上がるとうれしいもんで、さっそくおじさんの顔にはめ込んで写真撮っていました。

今回の実習ではこのおじさんの顔を使ってアルジネートでソケットの印象。

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次回のセミナーはまた10月になりますが、今回は宿題を指定しています。

もう一個同じ色で義眼を作って用意しておくこと。

今回できた義眼をおじさんの右目に入れた状態で、顔面の印象をとって石膏模型を作っておくことです。

次回はおじさんの顔左目の眼窩エピテーゼになりますので、その前準備ですね。

多分次回も2日間コースになりそう。

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今回は行きの飛行機、なぜかビジネスクラスにアップグレードされました。
 
マニラ セブ間は1時間少々なのでわざわざ高い料金払って広い席をとることもなかろうと、かねてからの持論でしたが、いろんな細かいサービスはなんか偉くなった気持ちになってしまうんですね。

・・・といいながら帰りはエコノミーでしたけど。

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その前に例の絶頂レストランで食事しました。

今回はいつものおかゆにエビの料理を追加。
ちょっとした贅沢な食事となりました。

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ラウンジのお土産屋さんです。

多分アルミ缶からリサイクルされたものだと思うのですが、アルミ製の動物なんかの置物が最近多い。

ジンベイザメも相変わらずたくさんぶら下がっていたりします。買わんけど・・・

ワープするおじさん

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いつもコメント頂いている n,wさんから送っていただいた写真です。

セミナーやわたしの実験台として活躍してくれているおじさんが、日本でプリントされて生まれつつあります。

シリコンになった状態で日本に旅立っていったおじさんもいれば、今回のようにデータ転送されて転送先でプリントされて再生されたおじさんも世界各国にすでに数名います。

なんかシリコンになったものを梱包して国際貨物で送るのと違い、ものがおじさんの顔だけになんかワープとかSFチックに感じて感慨深いものがあります。

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こちらは現在進行系のセミナーでのおじさん。

まだ虹彩描いてワックスの眼球に埋め込んで試適しただけですけど、眼球だけで見るよりやはり映えますよね?

先週のセミナーでは黒目の眼球を装着されていましたが、目の色によっておじさんの国籍が変わって見えるのもあらためて認識しました。

黒目のおじさんは写真を取り忘れたな・・・

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息子が作っているこの無歯顎を装着するのもいいかも。
歯科と義眼、眼窩、鼻、耳をマスターするとおじさんの顔が完成する、というのも楽しいかも・・・



 

おじさんの顔とセミナー

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このおじさんの顔に名前をつけてやらないと、と思っているこの頃です。

眼科の先生が義眼と眼窩のエピテーゼを覚えたいというのでセミナーやってます。

ようやくこのおじさんの顔の初舞台です。

今回で2回めのセッション。
最初のセッションでは材料やなんかの説明をして、クリアボタンとブラックディスクの作り方をやりました。

自分で作るという宿題を出して前回は終了。

2回めのセッションでは宿題もつつがなくこなしてくれていて、きれいなクリアボタンとディスクができていました。

前回の復習から初めて、今回は虹彩の描き方とクリアボタンと虹彩の合体。

おじさんの顔は患者さんの顔ということですね。
前回は顔面印象とソケットの印象で活躍してくれました。

ソケットにあわせてクリアダミーやワックスのダミーを用意しています。

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実際に虹彩を書くところのデモをやって、くだんの先生にやってもらいます。

もともと少し知識と技術があったことももちろんなのですが、何より義眼を自分で作りたいという情熱のある若い先生でして、結構凝って虹彩を描いていました。

描いた虹彩をクリアボタンと合体させて研磨。

おじさんの顔を使ってクリアダミーとワックスダミーの使い方を説明。

ワックスに中心点をマークして虹彩を取り付けます。

ただのワックスの塊がいきなり眼らしく変身する瞬間ですね。

これをおじさんの顔を使って試適。
患者さんに試適するシミュレーションですね。
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まだ白目の部分はワックスなんですが、結構おじさんの顔も表情が生きてきますよね。

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またいくつか宿題をだして2回めのセッションは終了しました。

次回は埋没からレジンの仕上げで、たぶん義眼が一個完成するかな?

その後は反対側の眼窩のエピテーゼにうつります。

自分で作った義眼にあわせて同じ色で眼窩エピテーゼ用の義眼を作らないといけません。
今のうちはいろんな色を試したくて凝った色の義眼になっていますが、後でそれが再現できるのかを密かに楽しみにしています。ぐふふ・・・

 

おじさんの顔 改良版

しばらく放置プレイされてたおじさんの顔。

セミナーの要望が増えてきたので最終(?)の改良を加えました。

最初の型でも問題はほぼなかったのですが、今回の改良で使い勝手がかなり向上するはずです。

このおじさんを使ったオンラインセミナーでは義眼、眼窩のエピテーゼ、それに鼻のエピテーゼをやる予定です。

でも、作っていて感じたのですが・・・
白のフィラメントで3Dプリントした試作品で実際にシリコンを詰めてみました。

せっかくならちょっとキャラクタライズもしようと、詰める時点で少しだけこってみました。


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ファイバーとかピグメントで色を変えたシリコンを、部分的に型に置いてから母体のシリコンを詰めました。

この工程自体もインターナルキャラクタライズとして楽しめます。

こちらに動画も上げてます。



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その後できたシリコンに今度は外部ステインでキャラクタライズしましたが、これは結構楽しい作業です。


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実際の患者さんの皮膚に合わせるとなると毎度冷や汗が滝のように流れる作業ですが、そういうことを気にせず自然感を出すだけなので結構楽しめます。



ステインのあとはコーティングとつや消し作業をします。

できたおじさんの顔を実際の患者さんに見立てて、型どりからはじめ義眼、眼窩、鼻とエピテーゼを作っていきます。

日本以外の国からも問い合わせが多く、シリコンになったおじさんの顔で発送するのがちょっと難しい国もあります。

その場合は型のデータで送れるようにともともと考え出したものです。

発送に制限がない場合はほかにも選択肢があります。

すべての選択肢は下記のようになるでしょうか。

1.型のデータで送り、自身で3Dプリントしてもらう
2.3Dプリントされて完成した型を送る
3.基礎色で重合されたシリコンのおじさんを送る
4.外部ステイン、コーティング、つや消しすべて終わった状態のおじさんを送る

もちろん上記組み合わせも可能ですね。

あとは金額の設定次第ですが、もしご意見ご要望がありましたらコメントください。

・・・・で、肝心の今日の作業・・・・
どこを改良したかというと・・


Screen Shot 2020-10-14 at 15.31.35

色がついた部分です。
実際型に色がついているわけではなく、これは3Dソフトの作業上一時的に表示されているだけです。

これに蓋が付属しますが、位置決めの丸い出っ張りをつけました。

鼻の部分で上下が接するので、なくても不便はないのですが、あったほうが確実に位置が決まります。
Screen Shot 2020-10-14 at 15.34.13

あとは上下合わせてクリップで挟むことができるようにしています。

シリコンを流し込んだあと、蓋の上になんか重しを置いておけばそれですむのですが、せっかくならスマートに。

最後はシリコン重合後に開くとき、前回のものは隙間を作っていなかったので苦労しました。

マイナスドライバーなどを差し込んでこじれる隙間をつけています。

多分この型に関してはこれで完成形・・・のハズ・・・

赤ら顔

せっかくなので薄化粧のおじさんに、最終のステインをほどこしてみました。

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とくに合わせないといけない色があるわけじゃなく、自由に色付したので結構楽しかったですね。

ちょっと調子に乗りすぎていつもよりステインが濃かったです。

動画で上げているのでよろしかったら御覧ください。



普段のステインならもう少し薄い色からはじめて重ねていくのですが、動画でご覧いただけますが、結構最初から濃い色を使いすぎています。

そのせいで少し赤みが強すぎるような気がしてます。
作業したのも夜遅く家人が寝静まってからでしたので、やはり人工光源だと不安です。

翌朝太陽光のもとチェック。
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やはり赤みが強すぎますね。

でもこのあと結局コーティングとつや消しして完成させたのが最初の写真です。

義眼も前に作ったのを無理やりねじ込みました。
やはりあっていないので視線が若干上向きです。

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ためしにiphone XRのポートレートモードでとってみたら、眼球を入れると人の顔として認識されるようです。

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義眼歯新しく作り直します。
更に眼窩と鼻のエピテーゼも作ってみます。


顔面補綴マニュアル  やさしい義眼の作り方 How to make artificial eye
How to make Ear Prosthesis 英語版
エピテーゼのつくりかた 耳
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村井 さむ

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日本でのプレッシャーを逃れフィリピンに移住してはや10年、まだ生きてます。やさしい義眼の作り方

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