今回で3回目になります。
口蓋裂の動物の場合、普通は生まれてきても母乳をよく飲むことが出来ず、死んでしまう場合が多いのだとか。
この犬はそういう意味では結構まれなケースなのかもしれません。
ただ最初にあったときには青っ鼻たらしてるし、毛はまばらにしか生えてなくてガリガリに痩せてました。
チャウチャウなんだといわれても信じられませんでした。
わたしにとってもはじめての犬の口蓋裂で、型どりはシリコンパテを使って麻酔で眠ってるときに行いました。
口蓋に縦に空いた亀裂のような穴、型どり前に見ると食べ物がびっしり詰まっています。
キレイに洗浄して型どり。
後日シリコンで作ったオブチュレーターというフタのようなものを装着。
はじめての装着には再度麻酔で眠ってもらいましたが、毎日使うものだけに装着と取り外しのたびに麻酔かけるわけにはいきません。
口蓋の穴の形を利用してうまく固定され、なおかつ取り外しも素早くできるようにとデザインしました。
最初に会った当時はまだ子犬が少し大きくなった程度でしたが、それから約2年後再会。
やはり成長に伴って穴も大きくなっているための作り直しでした。
このときはすでに3Dを導入していたときでしたので、人間の歯科で使うような型どり用のトレーをデザインして3Dプリント。
初回のときよりも格段に型どりがしやすくなりました。
その2回目から更に2年、今回で3度めの再会、犬ちゃんもすでに5歳になっています。
オブチュレーターで口蓋の穴を塞ぐと、やはりものが食べやすく嚥下もしやすくなるらしく、前回の装着後しばらくしてからの経過観察では毛並みも肉付きも見違えるように良くなってました。
今回で3回目ですが、チャウチャウという犬種だけに毛がモコモコしてるので目立ちませんが、体を触ってみるとかなりガリガリに痩せています。
体格的には2年前とそう変わっていないように見えるのですが、口の中を見ると口蓋の穴は以前より大きく横に広がっています。
大きく広がっているぶん食べ物が詰まったままというのは少なくなっているようですが、かわりに鼻水は常時盛大に流れています。
最初は鼻水と思っていたのですが、口の中の唾液がでてきているんですね。
さすがに3度目ですのでこちらも用意は周到。
型どり用のトレーも口蓋部だけで用は足りることにきづき、今回はミニマムなトレーでした。
トレーの持ちてのところが邪魔でしたので、ニッパーで切り取って印象。
今回はシリコンの硬さを変えて2種類、予備を含めて合計5個作りました。
できれば麻酔無しで装着してみたかったのですが、やはり自分の犬ではないので気性がわからない。前回麻酔無しで挑戦した獣医さんは噛まれてたし・・・。
犬ちゃんにはかわいそうですがまた麻酔をかけてもらいました。
事前の準備に時間がかかった割には装着はほぼ一瞬ですんだので、なんとなく気が引けました。
オブチュレーターを装着してしまえば、あたり前のことながら鼻水は止まってしまいます。
それだけでも周りには劇的な変化に見られてしまうのもどうなのか・・・
麻酔から覚めて待合室にでてきた犬ちゃんは鼻水もキレイに止まり、なんとなく清々しく見えるのは気のせいでしょうか。これでまた肉付きが良くなってくれればいいのですが。