やさしい義眼のつくりかた How to make artificial eye and prosthesis

顎顔面補綴という仕事を通じて身につけた義眼やエピテーゼの製作技術やその背景をご紹介。 あまり広く認知されていない技術ですが、どこかで誰かの役に立てればいいですね。 フィギュアなどの趣味にも生かせるように、なるべく特殊な材料や 道具を使わない方法も お伝えできればと思います。 How to make artificial eye and prosthesis.

How to make artificial eye and prosthesis.

2018年09月

義眼 セミナー 2回目

セミナーの2回目といいながら生徒さんたちのスケジュールの都合で、2グループに分けているのでそれぞれ隔週で行なっていることになります。

昨日はグループ2の実習第一回目になります。

ブラックディスクやクリアボタンの作り方から始まり、虹彩を描いてクリアボタンとの合体までが第一回目。

1回目の虹彩は好きな色で自由に描いてもらいます。
それぞれの虹彩を真似ると必然的にこげ茶か黒色になってしまいますので、もう少し筆つかいなどを感じてもらうためにネット上で見つけてきた写真を参考に描いてもらいます。


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それぞれ複数個描いてもらいましたが、やはり個性とセンスが出るので発見があります。

クリアボタンとの合体ではセンター合わせを、やはりもう少し確実にできる方法を考えないといけません。

それと小さい気泡が入っているものもあります。

国外からの要望があるので今オンラインで製作の指導方法を考えているのですが、実際の生徒さんの実技をみているとまだまだ織り込まないといけないことが多くなりますね。


デンタルショー ふたたび

いつの間にかフィリピンではデンタルショーが年2回行われるようになっています。

今週がその2回目で、1回目に比べて若干小規模で期間も短いのですが、ちょっとお手伝いもあって参加してきました。

ついでにエピテーゼも少し展示。


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メーカー系や大きなディーラーのブースは大きいのですが、こういった小さいブースも時々面白いものがおいてあるので、いつも時間を見てはぶらぶらします。


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むかし手塚治虫のブラックジャックに憧れて、薬局に頼んで手術用のメスやら器具を注文して取り寄せてもらっていたことを思い出します。今にして思うと相当変わった小学生でしたね。

その名残でこういった金属の器具がおいてあるとついつい・・・・

コンベンションも終わりの頃の夕方、人出が少なくなった頃を見計らって物色に行きます。

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今回は写真中上の2本の道具を仕入れました。

一番上は歯科の用途で今は滅多に使わないのですが、ないと困るものなのでとりあえず押さえておきました。

真ん中のハサミは今回の1番の目的で、シリコンエピテーゼの重合が終わって、型から取り出した後のバリを切り取るのに使います。

まっすぐな刃のやつはすでに持っていますが、結局写真一番下の文房具で買った手作り感あふれるこのハサミの方が刃の小刃の角度が鋭くて使いやすい。

ただ場所によってはやはりカーブした刃のものが欲しくなる時があるので、真ん中のやつを買いました。

ハサミや器具はフィリピン製のものを安く売っていますが、品質が少し一定していないものが多いのです。

そのため特にハサミなどは人出が引けてから全部ショキショキいわせてチェックし、一番感触のいいものを買うことにしています。

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これは歯学部の学生なんかが実習で使うファントムヘッドというやつですね。

なんか色々とハイテクな装備になっていました。

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これは訪問診療用のトランク式になったセットで歯を削るタービンと圧搾空気や水が出る鉄砲みたいなものと吸引がセットになっています。







義眼のセミナー スタート

耳のエピテーゼのセミナーがひとまず終わったあと、台風や何やで少し間が空きましたが、次のコース義眼が始まりました。

生徒さんはフィリピンの人なので、クリアボタンとブラックディスクの自作から始まり、虹彩を描いてクリアボタンと合体までが初回でした。

やはり虹彩を描くというのが新鮮なようで、初回は自分の好きな色で描いてもらいました。
アジア人の場合ほとんどが黒か茶色の虹彩なので、その色に合わせることから始めると退屈するのではとの思いでした。


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なぜか自分の手をパレットにして夢中で描いています。

この日は生徒さんは3人でしたが、ものも言わず黙々と描いているのをみるとこちらもまた新鮮な気持ちを思い出します。


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これは一人の女性技術者が描いたもの。
金色の絵の具を使い時間をかけて描き上げていましたが、自分の頭の中にイメージがはっきりとあるようで、複数の絵の具を微妙に混ぜ合わせながら彩色していました。

サントニーニョという人形の目の修復に使うために買った金色の絵の具で、普段自分では使うことのない色ですが、描きあがったものをみると義眼としての仕上がりが楽しみですね。


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拡大写真はピントがボケてしまいましたが、光の加減で色が変わるのはなかなか面白いです。

ファッションとしての義眼もありなのではとちらっと思いました。


耳のマニュアル

インターネットの普及のおかげでいろんな国の人からコンタクトをいただきます。

中でも某国からの熱心なお誘いがあり、ついでにいろんな情報をもらったりでなかなか面白い日々を過ごしています。

あいだでお客さんが見えたりで、ちょっと体調を崩す一歩手前の予感で踏ん張っています。

人口何人あたりに一人の義眼技師が必要とか、義眼技師よりアナプラストロジストの方が絶対的に数が少ないなどなど、今までさして気にしたことなかったことを教えてもらったりためになっています。

「やさしい義眼の作り方」は電子書籍でしか出していないのですが、どうやったのかそれをPDFに変換しさらにGoogle翻訳で訳してまで読んでいる方もいてびっくりです。

常々英訳版を早く出さなければとおもいながら忙しさにかまけていたのですが、こういうのを知ると重い腰を上げなければと思います。

・・・で、いただいた英訳版をみながら改めて「やさしい義眼のつくりかた」を見直すと、やはり中途半端感が否めない。

その後この本やインターネットを通じて知り合いになった方や、世界中の素晴らしい技術者をみるとこのままでは英語版は無理だな、と思い始めています。

使う道具、材料もやはり本来のものを使ったものが必要だと思っています。

ということで英訳版はまた準備しないといけないものが先立ってしまいます。

あわせて耳のエピテーゼのマニュアルを作っているのですが、こちらも織り込みたいものがたくさんでまだまだ先は長そうです。

日本語版を後から英語版に直すのはやはり億劫ですので、耳のマニュアルからは英語版を先に作ることにしました。


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時勢もあってデジタルの技術の応用も取り入れていくつもりです。

技術の追求もいいのですが、やはり世界的に見ても技術者の数は少なすぎるようですので、デジタルで補えるところは補って敷居を下げることも必要かなと思っています。

多分既存の技術者には反感を買ってしまうのかな?

でもでも技術者の絶対数は世界的にも少ないので、やはりご容赦願うしかないですね。

写真は例によって3Dプリンタによるパターンですが、新しい材料を手に入れたので試験的にプリントしたものです。

この前に何度かプリント失敗して、プリンタの設定やらデータやらも調整しています。

だからどれがよかったのかは確信が持てないのですが、新しい材料になって今の所はプリント失敗がないのでしばらくはこれでいきます。

プリンタも安いものでもかなり高精細でプリントできるので便利ですね。






3D プリンタの復活

最近アップしていた3Dプリンタによる耳の造形は、新しく導入したDLPといわれる光造形式のものです。

それより前に導入していたFDM熱溶解積層?のプリンタはしばらく故障して放置していました。

FDMよりDLPの方が優れているのだろうと単純に思い、DLPを新しく導入したのですが、これはこれで難点もあるのに気づきました。

耳の原型をプリントするのに約2時間ほどかかりますが、プリントの途中でうまくいっているか確認するのが難しいのです。

2時間ほど経って開けてみて失敗ということを何度か経験しました。

プリント自体がうまくいけば出来上がりはなかなか素晴らしいのですが、結局正常な側を反転してプリントし、さらにそれを型取りしてからワックス原型に置き換える、という作業をしているのでプリントされたものの表面の精密さはさほど大事ではありません。

昨日の日曜日は久しぶりに休みでしたので、放置したままのプリンタを修理しました。

テストプリントにまた耳の原型をオリジナルのサイズでプリントしてみました。
光造形のものより積層は荒いのですが、プリント時間は3時間ほどと長くかかります。

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下の黄色のものは患者さんから型取りして石膏模型にしたものです。
これの正常な側を3Dスキャナでデジタルデータにし、プリントしたものが上の段です。

左側黒い方がDLP光造形のプリンタによるもので、右の赤い方が昨晩テストプリントしたFDM熱溶解積層の方です。

DLPの積層は0.08mmですがもう少し精度をあげることもできます。
0.05mm でプリントした時は2時間半ほどかかりましたので、時間短縮のため少し荒くしました。

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なだらかな曲面の部分ですので積層のピッチがよく見えます。

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FDMの方は0.1mmピッチです。
こちらのプリンタも0.05mmでプリントできますが、あまりそこまでやる意味はなさそう。

こちらのプリンタの場合樹脂が積み重なっていく様子を観察できるので、プリントがうまくいっていない場合は早めにわかるのがいいところです。

実際の患者さんの症例ですでに土曜日に完成して装着しています。

反転してプリントした黒いほうの原型をアルジネート印象材で型取りし、ワックスを流し込んでワックス原型にしました。

ワックスに置き換わってしまうと0.05mmと0.08mmの積層の違いはわからず、歯ブラシでひと撫ですると滑らかになってしまうレベルです。

エピテーゼの作り方がだいぶ変わりつつあります。



顔面補綴マニュアル  やさしい義眼の作り方 How to make artificial eye
How to make Ear Prosthesis 英語版
エピテーゼのつくりかた 耳
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村井 さむ

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日本でのプレッシャーを逃れフィリピンに移住してはや10年、まだ生きてます。やさしい義眼の作り方

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