やさしい義眼のつくりかた How to make artificial eye and prosthesis

顎顔面補綴という仕事を通じて身につけた義眼やエピテーゼの製作技術やその背景をご紹介。 あまり広く認知されていない技術ですが、どこかで誰かの役に立てればいいですね。 フィギュアなどの趣味にも生かせるように、なるべく特殊な材料や 道具を使わない方法も お伝えできればと思います。 How to make artificial eye and prosthesis.

How to make artificial eye and prosthesis.

2016年12月

クリアーなクリアボタン

年末の慌ただしい時期ですが、この休み中に義眼製作をやろうという方のために少し秘密の部分をおすそ分け。

その前にマニュアルはどうしたといわれそうですが、私の方もこの休み中に写真を撮ってしまいたいと思います。

全体の流れがわからないまま、部分的なヒントを出してもなんのことやら、という感じかもしれませんが、多分必要としている人はいるはずなので・・

義眼の肝の部分、クリアボタンはアメリカやイギリスなど、顔面補綴の技術が盛んなところではパーツとして買うことができます。

加熱重合レジンを使って自分で作るための金型も売られていますが、かなり高価なようです。

私はワックスで原型を作ってそれをフラスコに埋没して、加熱重合レジンで作っています。

フラスコには通常石膏で埋没するのですが、私はパテタイプのシリコンを使っています。
これだと重合後に取り出すときに型が壊れず再使用できるためです。

もう一つパテを使う利点は、石膏型だとアクリル樹脂の液を吸収されてしまったり、石膏の色素の影響などでクリアボタンがきれいな透明に仕上がらないことがありますが、パテですと液をほとんど吸収しませんのでこの点有利です。

ただしそれでも出来上がりがスッキリクリアーにならないことがあります。
やはり何かの成分の影響を受けるのだと思います。

このため高価な金型が売られているのも理解できます。

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私はシリコンパテの型に、錫箔を貼ることでこれを防いでいます。

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上の写真はすでに重合が済んだあとの取り出し時です。
錫箔は手で剥がすことができますし、剥がれなくても表面は一層削りますので問題になりません。

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この写真は左がアメリカの材料屋さんから購入したもの、真ん中が錫箔を貼って重合したもの、一番右がパテだけの型で重合したものです。

一番右のものはやはり比較すれば少し曇ったように見えます。

IMG_2760

これは裏側からの写真。
やはり違いは一目瞭然。

錫箔は柔らかく圧接しやすいのですが、手に入りにくい場合はアルミフォイルでも代用できます。
アルミフォイルは少し硬いので、この場合は石膏型の方が圧接しやすいかもしれませんね。

IMG_2764
もちろんアクリルの粉と液を混ぜるときには、ガラス製で蓋のできるきれいな容器を使うことも重要です。

私はホテルの朝食についてきた、ジャムのミニチュアの瓶を使っています。

 

久しぶりの義眼ねた

義眼を含むエピテーゼのコースをごくたまにやるのですが、そのときの生徒さんが久しぶりに私の職場に遊びに来ました。

遊びに来たといっても、別のプロジェクトがあり、その協力に来てもらったのですが、
最近では義眼の注文が多く忙しくしているそうです。

スペアで作ったやつを記念にと置いていってくれました。

IMG_2222

白目の部分の青みが混じった黄色とかすごく自然感があります。

クリアボタンの瞳孔に当たる部分は、本人が独自の工夫をして、実際の眼球の構造に近いものにしていました。

ものすごく小さな部分ですが、本人のこだわりが詰まっています。

IMG_2223

 新しいプロジェクトというのはこの子犬が患者さん。
未発達の前足の補助になるような義足のようなものがほしいとの要望です。

顔面補綴は守備範囲が広く、今までにかかわった患者さんのなかには動物も結構います。

熱帯の九官鳥みたいな鳥の折れたくちばし、落とされて割れたゾウガメの甲羅、
鉄格子をかじって折れたジャガーの牙、ハスキー犬の義足などなど。

くだんの生徒さんは以前うちのスタッフで技工士でした。
美術的なセンスがすばらしい芸術家肌で、毎日納期に追われて入れ歯を作るプレッシャーと退屈さがいやになり退職。

顔面補綴の技術を学んで独立しました。
話を聞くと最近は注文が増えて忙しくなってきたと、
でも歯の仕事とは違ってやはり本人の性に会っているのか、楽しそうでした。


 

材料道具その他もろもろ

しばらく更新がすすんでいません。

時々材料はどこで手に入るのかと問い合わせを頂きます。

先日は台湾かどこかの方からメッセージを頂いていたのですが、コメントやメールと違って気づきにくい状態にあり、気づいたときにはだいぶ月日が経ってしまっていました。

私自身は現在フィリピンに住んでいますので、材料道具の入手が日本ほどスムーズではありませんが、それでも日本のアマゾンで注文して運び屋さんに持ってきてもらうという方法で大部分まかなえています。

普段は歯科業界にいますので歯科の材料は手に入るのですが、義眼で重要な材料のアクリルはこちらでなかなか質の良いものが手に入りにくいのです。

アクリル樹脂のモノマー(液)が物性を左右する重要な鍵ですが、この材料は可燃性であるため飛行機で運ぶことができないようです。

たまに日本に行くと、東急ハンズはやはりなんでも揃うし、アマゾンに至っては配達がものすごく早くなっているようで、日本はなんでも恵まれていて便利なのを実感します。
 
今回このブログの中にアマゾンの商品を入れるようにしてみました。
パージ左側に小さなリンクを置いていますので、そこから見ていただけると思います。

今のところ自分が使っているものや、使えそうなもの欲しいもの、とりあえずごっちゃにおいていますが、おいおいコメントなどを個々につけていこうと思います。

しかしアマゾンを改めて見ていると、完全に歯科用のマイクロモーターやタービンなどまであってびっくりします。

歯科技工用ドリル ハンドピース 宝石類および爪研磨ツール研磨工具 ブラシレス 電気マイクロ モーター 50,000 回転 プラス ストレート

ちなみにこれなんかはちょっと買ってみたい製品です。
歯科用のマイクロモーターは結構な値段がしますが、これはかなり安いですね。

安いなりの理由があるんだと思いますが、義眼やエピテーゼの場合は重切削の必要が無いので多分これでも十分すぎるんじゃないかとおもっています。

ブラシレスモーターの上に、ハンドピースの先端部はクリニックで使うハンドピースと多分付け替えができるはずです。

コピー商品なのかOEMなのかわかりませんが、今ちょっと興味があります。

通常技工用のマイクロモーターは35000rpmですが、この製品は50000rpmまでと書いています。

このタイプのハンドピースの耐久性としてそこまではどうなのかなと思いますが、最近私の勤めている技工所で購入した韓国製のマイクロモーターは50000rpmまで十分いけてます。

本体の出力がそこまでいけているのであれば、ハンドピースを耐久性の高いものに買えるといけるのかなとおもってますが・・・

いずれにしても義眼ではそこまでの回転数は必要ないですけどね。

自宅用に購入しようかとおもっていますので、また購入したらレビューでも書いてみたいと思います。 
顔面補綴マニュアル  やさしい義眼の作り方 How to make artificial eye
How to make Ear Prosthesis 英語版
エピテーゼのつくりかた 耳
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村井 さむ

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日本でのプレッシャーを逃れフィリピンに移住してはや10年、まだ生きてます。やさしい義眼の作り方

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