やさしい義眼のつくりかた How to make artificial eye and prosthesis

顎顔面補綴という仕事を通じて身につけた義眼やエピテーゼの製作技術やその背景をご紹介。 あまり広く認知されていない技術ですが、どこかで誰かの役に立てればいいですね。 フィギュアなどの趣味にも生かせるように、なるべく特殊な材料や 道具を使わない方法も お伝えできればと思います。 How to make artificial eye and prosthesis.

How to make artificial eye and prosthesis.

2015年12月

クリスマス

フィリピンはクリスマスでみんな浮足立ってます。
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歯科のほうの仕事と、間に耳や鼻のエピテーゼの仕事が入り、
しかもクリスマス前にという依頼がほとんどでバタバタしています。

そうはいっても以前日本で歯科技工所を営んでいた時のように、
夜討ち朝駆けの仕事の仕方じゃなくなりました。

もうそういう歳でもないし、あのまま日本で仕事していたら、今頃どうなっていたのやらと思います。

クリスマスとそのあとは少し休暇が取れます。
その代わり1月2日から仕事ですが、多分この辺りは忙しくないはずですので
この時にマニュアルの足りない写真を一気にとってしまおうと思います。

ようやく出口が見えてきました。
マニュアルをお待ちの皆さま今しばらくお待ちください。 
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耳のエピテーゼ

クリスマスまでにという要望がやはり多く、結構突貫工事のようなありさまで仕事したりしています。

今日は耳のエピテーゼを完成、装着して帰っていただくことができました。

今まで結構耳のエピテーゼは作りましたが、大体小耳症の患者さんで、矮小化した耳が残っている場合がほとんどです。

これはこれで大体が都合の悪い位置に残っていて、反対側の耳の形に合わせるのに苦労します。

手術して取ってもらえばこちらとしては作りやすいのにと思いがちですが、患者さんにしてみればなるべく取りたくないという方がほとんどです。

あるものはなくしたくないというのと、将来再建術が進んだ時に役に立つかもしれない、という思いもあるようです。

だからこちらの都合で簡単にとってしまいましょうとは言えないところです。

一度ミンダナオのほうから来られた患者さんがいて、この方は小耳症ではなく、本来あった耳がなくなった状態で来られました。

耳の穴も残っており、患部はきれいに平らでこちらとしては非常に作りやすい状態でした。

ただ付き添いの方もふくめて、寡黙でなんらかの事情があるようでした。
鋭利な刃物で切り取られたような状態でしたし、ミンダナオからというだけでなんか怖い事情があるように感じたものです。

耳のエピテーゼが完成し、装着した時にようやく白い歯が見えたのは救いでした。

今日の患者さんは仕事上の事故で耳を損傷。
こちらは元の耳の一部が残っている状態でした。

このタイプは今までに作ったことがありませんでしたので、ちょっとチャレンジの部分がありました。

担当の外科医は「残っている部分に被せちゃえばいいじゃん」と勝手なことを言っていましたがスルー。

いつものことながら装着してみるまではわからない部分が常に残るので、ドキドキします。

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結果としてはまあまあいいのではないでしょうか。
しばらく使って様子を見てもらうことにしました。
 
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これは両側型どりしたものに石膏を流したものです。
辺縁が浮き上がらないように微妙にエピテーゼの形を予想して変形させて作ります。

この辺が勘所でしょうか。

色に関してはいつもなら冷や汗かきながらの作業になりますが、
水彩絵の具によるサンプリングをするようになってから、こちらも短時間で色合わせできるようになりました。

色の道 ジルコニアの歯

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写真左はジルコニア100%の冠。
右側はシェードガイドといって歯の色のサンプリングに使う色見本です。

今回の冠は右のシェードガイドの色に合わせるべく作ったのですが、
写真はシンタリングといって、削りだしたジルコニアの生素材にベースカラーのリキッドをしみこませたあと 
1500度くらいの高温で焼いたものです。

削りだしたばかりの素材は真っ白のチョークみたいな素材ですが、シンタリング処理をすることによって固くなり本来のジルコニアの状態になります。

カラーリングリキッドがなかなかこのメーカーのものはよく、シンタリングが終わっただけの状態でも結構ベースカラーも近く、グラデーションも出ています。

最終的には表面にステインを塗ってさらに艶焼をして完成です。 

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 こちらがステインと艶焼が終わった状態で、なかなかシェードガイドにマッチしていると思いましたが、
実際に口腔内で見ると、光源にもよりますが、やはり内部の白さが浮き上がってきていました。

完璧に色合わせをしたいところだったので、結局表面を少し削りジルコニア用のセラミックスを盛り上げて焼きました。

これでマッチしてくれればいいのですが、口に入れてみるまで分からないところがなかなか怖いですね。

エピテーゼ用のシリコンはさらに厄介で、比較するために写真を撮ったりするのですが、
フラッシュを使うと見た目とは全く違う色に写ってしまいます。

歯のほうもそうですが、なるべく自然光でカメラのフラッシュなしで撮るのが理想ですね。

義眼用のアクリルは比較的そのようなことが少ない素材ですが、写真を撮られると生体の眼球と比較されやすい部分ですのでこれも気になるところです。
 
色の道はいつまでも難しいです。 

ディスパッチセット

歯科の方の仕事であちこち呼ばれます。
入れ歯や冠の調整、色合わせ、コンサルなどなどいろいろです。

突発的に呼ばれることも多いので、常にバッグに入れているセットがこれです。

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息子の使わなくなったゲーム機入れに入れています。
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ビニール袋に入っているのが、検査用ゴム手袋。
その下にライターとメスの替え刃。

後はインストゥルメントとペン各種に、歯科用マイクロモーターにつけて使う研磨や研削用のバーやポイントたち。

いつでもどこでも誰とでも同じ状態で仕事ができるようにしています。

この辺も子供の頃に憧れたブラックジャックの影響かもしれません。

耳と鼻

巷ではボーナスが出たせいか色々仕事が立て込んできています。
しばらく連絡のなかった患者さんから、立て続けに連絡があったり、突然朝早くから訪ねてこられたりと、少し追い込まれてきています。

今日も朝から二人の患者さん。
耳と鼻でした。
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色合わせに水彩絵の具を使うようになって、格段に進歩したかな?

以前はシリコンのベースカラーがどうしても明るめで、外部ステインでの着色に時間がかかっていました。
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シリコンの色素も他の色素と同じく、長期にわたっては退色変色します。

特に直射日光下では顕著なようで、日差しの強いフィリピンでは、やはり日本よりエピテーゼの変色も早いような気がしています。

だいたいが赤みが抜けて黄色味が強くなってくるような感じでしょうか。

水彩絵の具での色合わせをするようになってから、ベースカラーをかなり追い込んで作れるようになりました。

当然表面だけの着色より退色に強く、色のリタッチとメンテナンスで患者さんが戻ってくるサイクルも長くなりました。

結構遠隔地から来られる患者さんも多いので、これはお互いにメリットですね。
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今でも一応やりますが、以前は自分の指や近い色のシリコン辺を写し込んで目安にしていました。

クリスマスまでに耳2セット鼻1セット仕上げなければです。
顔面補綴マニュアル  やさしい義眼の作り方 How to make artificial eye
How to make Ear Prosthesis 英語版
エピテーゼのつくりかた 耳
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村井 さむ

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日本でのプレッシャーを逃れフィリピンに移住してはや10年、まだ生きてます。やさしい義眼の作り方

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