一般には義眼って誰がつくっているのかはまず知られていないと思います。
なんか出来合いのものがあって眼科医がみつくろって
はめこむものだと思っている方が多いでしょう。 

実際のところはほとんどが人の手による工芸品といってもいいようなものです。

コンタクトレンズみたいに生身の体に使うものですから、
それに見合った材料の選択もしないといけないし、
それらの材料、道具をきちんと使っていける知識と能力が必要とされます。

何より一人ひとり違う個性のある眼球にマッチさせる色彩のセンスや、
視力が戻るわけではないにせよ
機能的な形状を作り出す造形のセンスも要求されます。

ましてや生身の人間が相手です、そこはやはり医療の範疇に入る仕事です。

・・・と、難しく書くときりがないですね。
ここではもう少しハードルを下げて、やさしく作り方を書いていこうと思います。

日本で長年こういう仕事にかかわってきましたが、色々と縁があって今は
東南アジア某国に住んで約10年ほどになります。

いろんな部分で先進国ではないところ、材料の調達にあわせ、
何より問題になるのがコストです。

今まで使ってきたパーツや材料はほとんどが日本製とか
アメリカ、イギリスとかから調達していましたので、
どうしてもそれらの価格が反映されて、現地一般の人たちには
なかなか高価なものとなってしまいます。

そのような状況のいつの間にか10年、その間いろいろと工夫したり、
現地で調達できる材料で試したりと、
今にして思えば先人の苦労を復習してきたようなものでした。

とりあえずいまのところ確立できている技術と材料を少しずつご紹介していきます。

道具もそれほど必要とはしないので、そのうちあちこち義眼を作りながら
さすらってみたいなとか思ってます。
包丁一本さらしにまいての世界も少し憧れてます。

でも生身の人間に使うものはいろいろと制約がありますのでそれはご理解のほど。
フィギュア製作なんかのアイデアに、というくらいのノリで見てください。